スーパースター藤井聡太二冠の過密日程について思うこと

第3回Abemaトーナメントには熱狂した!オープニングの音楽は最高だった。番組が始まるワクワク感と呼応するかのようなドラムの音は、私の鼓動とピッタリと重なり益々気持ちを煽り立てた。映像も素晴らしかった!色の帯が街中を疾走していく様子に私の気持ちは更に高揚した。放送終了後には早速今観たばかりの対戦を振り返る。しかも1週間毎日。チーム映像やらTwitterも欠かさずチェック。こちらも何度も見る。コロナ禍で自粛生活を強いられいた影響は否めないが、あそこまで将棋漬けだった半年間というのは今思い出しても異常だったとしか言いようがない…

 

第3回の大成功体験を経て、待ちに待った第4回大会。オープニングやTシャツのデザインは前回より見劣りしたが、何より羽生九段と藤井二冠がチームリーダーとして初のドラフト参戦ということで将棋ファンは歓喜した!指名されなかった棋士にもチャンスをと企画されたエントリートーナメントも悪くないと思った。が、いかんせんチーム数が多い。前回が12チームで今回が15チーム。たかが3チーム、されど3チーム。正直、今年に関してはCリーグの戦いがピーク。Dリーグあたりで中弛みし「やっぱり公式戦の方が面白いな。特に藤井二冠の対局の方が断然面白いなぁ」という感覚になっていた。

 

で、漸くここからが本題…

 

現在、藤井二冠率いる『最年少+1』は予選を突破し本戦に進出している。あまり大きな声じゃ言えないが、実は私は本戦初戦で敗退してもいいと思っている。Abemaトーナメントは第1回大会から第3回大会まで藤井二冠はすべての大会で優勝している。なので4連覇がかかった今回も注目を集めていることは充分理解しているのだが、私としては「もういいよ。公式戦に力を注いでくれ!」と強く祈ってしまう。兎に角、藤井二冠の体調が心配で仕方が無いのだ!藤井二冠の過密スケジュールを『彼は若い』とか『無尽蔵の体力』などで片付けてはいけないと思っている。今、彼が勝ち続けているのはコロナで対局が無かった頃に学習した成果なんじゃないだろうか?体調を整え、ゆっくり将棋の研究をする時間を作ってあげないと猛烈な勢いでただ才能が消耗されていく一方だと思う。インプットできず、その内研究のストックが枯渇してしまうのでは無いかと心配になる。藤井二冠の対局は全棋士が注目し、分析しているらしい。藤井二冠が時間をかけて生み出した驚きの一手を他の棋士たちはいとも容易く真似し、やがてその手は定石と化す。藤井二冠の才能だけがどんどん奪われていくという実態が歯痒い。

 

藤井二冠というスーパースターの登場で将棋界にスポットが当たった。空前の将棋ブームが起きている。それに便乗しAbemaは藤井二冠のほぼ全対局を中継し、彼をCMに起用する企業まで現れた。

 

佐藤会長は将棋界の為によくやっていると思う。尽力されてると思う。が、叡王戦での『見届け人の募集』やサントリーによる新棋戦の設立等々、金儲けの為に藤井二冠がここぞとばかりに利用されているのではないかと不信感を抱くこともしばしば。ただでも忙しい藤井二冠の予定をこれ以上埋めないでくれ!と叫びたくなる。サントリー主催の新棋戦は『自由参加』なんだから、大変なら辞退すればいいと言う人がいるが、果たして藤井二冠にそれが出来るのだろうか?『将棋の普及』や『ファンの為』と言われたら恐らく断れないだろうし、そもそもサントリーは『藤井二冠』がいるからこそ、この棋戦に協力しようと名乗り出たのだ。そんな経緯を知った上で、たかが19歳の青年が出場を辞退できるわけが無いと思うのだが…

 

藤井二冠は8冠を狙える棋士だと思うし、それを願う人も多い。でも、同じ棋士としては「そうはさせてなるものか!」と思っている棋士も少なくないだろう。だから忙しい藤井二冠を更に忙しくさせて勉強時間を阻んでいるのでは?と勘繰りたくなる。藤井二冠目当ての多くのファンは、藤井二冠がすべてのタイトルを失い勝率6割程度になったら間違いなく離れていく。そうなることに少しでも危機感があるのなら藤井二冠の才能を尊び、大人たちが体調を慮り見守ることだ。19歳に頼りすぎていることを恥ずべきだ!

 

最近では将棋の中継が増え解説者としての仕事も多くなった。加えて食レポや街ぶらレポが求められたりと棋士の露出の機会が増えた。が、すべては藤井二冠人気によって与えられた仕事である。将棋ブーム=棋士人気だと思ったら大間違いだ。人気があり集客力がある棋士はごくごく一部で、スーパースター藤井聡太がスーパースターではなくなった時、将棋ブームの火は消える。そして中継も減り、スポンサーは離れ、仕事も減るのだ。多分…

 

渡辺明名人が「実は3冠あたりが一番大変なんですよ。7冠になったら予選が無いから楽。ヒマなんです」と仰っていたが本当だろうか?羽生九段がご結婚された時は7冠だった。もしその年に奥様が妊娠されていたとしたら…

 

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夫(=羽生九段)に対して「死ぬんじゃないか」と心配になるほど忙しかったと奥さまは記しているが、渡辺名人の話が事実なら、藤井二冠はそれよりももっと忙しいということになり「死ぬんじゃないか」を超えて「死んでしまう」ことになる。

 

東京も関西も会館の移転やらで費用がかかるのは分かるが、金集めの為に藤井二冠の才能や未来を潰すことが無いよう是が非でもお願いしたい。以前「自分のピークは25歳だと思う。だからそれまでは将棋に打ち込みたい」と話していた藤井少年の夢を、大人たちの勝手な都合で邪魔しないでほしい。羽生善治というスーパースターが現れて将棋界も, 将棋界を見る世間の目も変わった。今、久々の, 待望の, 新たなスーパースターの誕生に将棋界が浮き足立つのは分からないでもないが、藤井二冠の才能は藤井二冠が努力に努力を重ね自分自身で掴んだもの。これ以上、藤井二冠の才能に甘え、彼の時間を搾取しないでほしいと心から切に願っている…